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辻孝文 (つじ・たかふみ)

アーティストの手によって生み出される、
線とドットが融合した作品の世界

Talk #2

ペインター

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幼少期の影響とアーティストへの道

ー はじめにアーティストになろうと思ったきっかけについて教えてください

サラリーマンにはならないというのは漠然とあったんです。サラリーマンってい
う普通の一般的なものが分からなかったんでしょうね。お父さんが家で陶芸教室、お母さんが絵画教室をやっていたりして、ちゃんと仕事出かけて いるというのがなくて。 それで自分もサラリーマンがイメージできなかった。 自分は絵とか、ゲーム作るとかそういうやつかなっていう風に思っていて。それがずっと今に続いてるって感じですね。

ー ゲームを作る人にならなかった理由もあるんですか?

大人になっていくにつれて、これ違うなって。 コンピューターとか、わかんな いってなっていてですね、これやっぱ絵や漫画の方がいい。 ちっちゃい頃は鳥山明に影響を受けました
ね。 一番覚えてるのは小学生の時にジャンプでドラゴンボールを見たときの衝撃でしたよね。

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繰り返す線の魅力 - 新たな創作の地平を切り開く

ー 今回の展示についてどのような狙いがありますか?

今回は全部新作で行くっていうところで、個人的にもチャレンジしています。 新しいのがちょうどできたので、 それの反応が見てみたいっていうのもあります。 こうした場所で見せた時に、どういう風に見えるか。客観的なところも外に展示すると見えてくるので色々と 試してみたい。

ー その、見え方というのは具体的にはどういう風に考えていますか?

部屋の中で作っているとこれいい感じだなとかっていうふうに思ったりするんですけど、いざ場所を変えて、もう展示する場所っていうところに置くと、違うなとか、そういうの見えてきたりするんですよね。 例えば簡単な話、色使いがもっと赤が多いよりは、暗めの方が良いなって言うバランスだったりとか、本当 細かいところが違ってくる。

ー ありがとうございます。以前のインタビューでは繰り返されることをテーマに作品を書かれてたと思いますが 今回出品される作品にも共通していますか?

そうですね、 線が繰り返して描かれていてその上でまた繰り返される。でその上に作品ができる。 その線自体を支持体のものにしてやってみようと思いました。 コンセプトは繰り返されることで今回はその線自体をテーマにしていて、線の重なりの上に絵ができてるって いうことを表現したものです。

ー 描かれている女性が正面を向いてるんですけれども、なにか言おうとしているようにも見える

絵と対峙した時にはそういう風に考えるじゃないですか。 なんで前を向いてるんだろう、とか。ちょっとした疑 問を感じて、面白いなあとか思ってもらえたら。

ー 今回は A4 サイズぐらいの、小さなものですが大きいものを作ったりも考えているのですか?

すごい考えてるんですけどこの形をカットするのが結構大変で。 複雑じゃないですか、細いとこあったりと か。 今回の展示は 12 個作った中でいいものを展示したい。 いつかは大きいものも作ってみたいですね、 天井まで届くような高さのものとか。

ー こうしたアイデアはどうやって閃いたのですか?

リヒテンシュタインで後期の方になるとブラッシラインだけを作品にしてるものがある。ブラシストロークという作 品。僕はそのストローク自体をキャンバスにしようと考えました。線が繰返されて、 その繰り返しの中に、また その作品っていうのはできるので、この形を今回は作っている。

ー 無限に続く線みたいな

そう、なんですよ。いや、無限だと思うんですよ。終わらない、死ぬまで終わらないですね。 ここ数年興味が あって、どうにかその線っていうのができないかなとずっと思ってたんですけど、これといった形が決まらなくて。 そうですね。今年去年終わりぐらいからこれじゃないのかなっていうものが見えてきました。 でそれを実験的に今回作品にした。

ー 影響を受けている作家は?

まずはじめにリヒテンシュタイン。リヒテンシュタインの凄さって、そのなんだろうな。ブラシをあの形で確立して、 最終的にそのブラシだけで行っちゃうっていうところまで行くのはかっこいいなと思う。そのスタイルでピカソとか の絵も描いたりしてるんですよ。 やっぱり線って、その作家の個性が一番出ると思うんですよ。 だから今回はそれ自体を、もう。作品にしてしまおうと。

それと、ウォーホールのポートレート作品にはシルクした上に手書きでこういうふうになぞるような作品がある。 ドットも入ってて、ポップアートとしてはその印刷物、大量生成のイメージにもなっている。 今回、それを現在のメディア媒体であるデジタルのドットにしている。まあいろんなものが入ってるような感じ の作品になってますね。

ブラックジョークと社会風刺の魅力

ー 辻さんにとってアートはどのような社会的な役割があると考えていますか。

難しいですね。 いろんなアートがあると思うので。ブラックジョーク的なものが含まれていたり、皮肉が効いているものに魅力を感じます。広告ですけど、イギリスとかでよくあるような、直接的には言わないけれど、間接的には笑っちゃうけど、刺さるみたいな社会風刺。

 

ああいうことをリアルできちゃうアートって面白いなあと思います。めちゃくちゃストレートに言うのではなく、悪いのか重いのかみたいなところを調節して、うまくバランスをとっている作品とかが結構好きですね。 笑って終わる人もいるし、まあそうだなって考える人もいる。最終的に受け取る人たちがどう考えるかなんですかね。アートの役割は。

ある人にとっては安らぎだったりするし。 作り手からすれば、何か開放だったり苦悩だったり、もう色んなものが入ってくる。自分としては、見た時によかったなあとか、元気貰えたりとか、かっこいい作品見て自分もやろうと思ってやっている。

NFT、AI、そして新たなトレンド

投資の面で買う人もいると思うけど、そっちの方が現段階目立ちすぎていますが、本来のところは、やっぱり感動とか安らぎだったりとかっていうポジティブなものなんだと思っています。

ー 投資はアートの本来の姿ではない?

でも、どうしても絡んできちゃいますよね。ただ投資という面でみると、こうすると売れるというかんじで今みんな同じようになっちゃってる。10 年前ぐらいはまだ全然あんまりなかったんですけど、ここ2,3年でも爆発 的に有名なポップアートが出てきてからこれ売れるってなってからみんなそっち流れましたよね。 やっぱり、二番煎じがみたいのは結構嫌いだけど、でもまあそれがトレンドだから。まあまあ、そうかみたいに なっちゃう。

ー 今後のアートはどんなふうに変わっていく?

日本のアニメ調なアートから今、具象にまた戻ってきてて。 でその中にストリートもうバクシーとかグラフィティ界隈とかも混ざって来ちゃってるんで、どうなるんですかね?
しかもAIのアートとか。もうロボットのプログラミング自体が作品になってるみたいな話になってるじゃないです かね。 NFTとかもありますけど、デジタルの方には多分 2 年とか経てば完全に流れるんじゃないかなと思い ます。

今後の活動や展望について

ー 直近で展覧会の予定などは

直近はもう今のところないですね。 今やってるものの、大きいのを作りたいっていうのが課題です。それがで きたらいろいろ、アイディアが出ると思うのでまずは作るっていうところが課題です。

辻孝文さんのプロフィール

【受賞歴 】
2010 トーキョーワンダーウォール公募 2010 トーキョーワンダーウォール賞
2007 メルボルン日本芸術祭(オーストラリア)日豪芸術様式美賞
2006 モントリオール国際芸術祭(カナダ)カナダ日本フランス芸術友好賞
2004 第6 回雪梁舎フィレンツェ賞展 入選 KARUISAWA HEARTLAND DRAWING BIENNALE入選

 

【展示会 】
2013 東京画Ⅱ ― 心の風景のあやもよう 東京都美術館 

2011 トーキョーワンダーウォール都庁
   TWS EMERGING 2011 tokyo wonder site hongo 

   ワンダーシード2011 tokyo wonder site sibuya 
2010 トーキョーワンダーウォール公募
2010  入選展 東京現代美術館 東京)
   100 Artist Exhibition (OUCHI GALLERY/ニューヨーク)
2008 GEISAI#11 (東京ビックサイト 東京)
2005 GEISAI#9 (東京ビックサイト 東京)

 

【レジデンスプログラム】
Saari Residence ( Koneen Säätiö フィンランド)

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