PORTRATOR (ポォートレーター)
アートの新次元:
デジタル技術と油彩の融合
Talk #4
painter(画家)
立体表現への興味と探求
ー はじめにアーティストになろうと思ったきっかけについて教えてください
元々絵が好きで。兄がいるんですけど、兄も絵を描いていたので一緒に描くようになって。それで京都造形 芸術大学(現、京都芸術大学)に入りまして、そこで本格的に始めるようになりました。
その時に、アーティストとしての生き方とかあり方を教わって、今でもそれを続けている感じです。
大学は予備校の延長みたいな感じで最初から友達がいたので結構楽しくやっていました。
ー 油絵を専攻された理由はあるのでしょうか?
予備校の時には、彫刻や粘土での塑像もやってて、彫刻科を受けたんですけど落ちちゃって。 彫刻の立 体的な感覚が好きだったので、絵書くにしても、そういう立体感があるような面で捉える感じが良かった。 西洋画の光と影を立体的に描くような感覚が好きなので、洋画でいいかなっていう感じで。
デジタル素材と油絵が創造する独自の人物像
ー 今回の企画参加にあたって、どのようなイメージを持っていますか?
普段アートに接する機会がない人がふらっと来ていると思うので、こういう展示が増えていくと、ありがたいで すね。普通の美術館とかギャラリーとかじゃなくて、こういう商業施設でやるということが面白いです。
ー 今回の作品のテーマやコンセプトはどのようなものでしょうか
先ほど話した立体感のある描写で 2 人の人物を描いたのですが、それはデジタル的に作っています。ネット上にある人物の素材を部分的に取り込んで絵におとしこんでいます。
ネット上の素材を組み合わせて、存在しているのだけど存在してない人物を描く。そして油絵の具使うことによって、質感にリアリティを持たせています。
最近は ipad を使ってデジタルでそのまま描くことが多かったのですが、今回はデジタルの中から外に出して るので絵画としての強度、質感が出てきているところが面白いと思っています。
ー 作品には女性と男性の絵が描かれていますね。
久しぶりに油やるとやっぱり絵の具の素材としての特徴で、新しい世界観を作れるようなところが面白かった。 作品の人物にも名前をつけることで新しい何かが誕生するような感覚がありました。
はじめはアダムとイブみたいなタイトルにしようかなと思っていて、女性の髪の長いほうがアダム、髪の短い方 がイブと男女逆にして考えていました。
ー 過去の作品では、虚無感や空虚感をテーマにしていたと思いますが、今回も関係するところはありますか?
そうですね、デジタルの空間では温度とか重さみたいな実態が感じれない。けれどそこにあふれているイメー ジというのを作品に落とし込む、空っぽさというのはテーマになっています。 ただ今回は、これまでのジークレーではなく油絵を使っているので存在感が出てきていると思います。
ー日頃作品を作る時の、アイデアの出し方はどのようなものですか?
展示場所をみて、その空間見てこういう絵があったらいいかなっていうのを考えたりします。それと兄がいるん ですけど喋りながらそういう作品のテーマを決めたりすることもある。 自分の中に何かあるものというよりは、 外からイメージを持ってきている。それはまあ、本でも映画でもなんでもいいんですけど、それを組み合わせ て自分ができている。
ー 今までに作品を制作されるにあたって、影響を受けたアーティストや作品などがありましたら教えてください。
本当にいろんな作家を見たり買ったりするので色々なところで影響を受けていますが、僕らの世代としては 特に奈良美智さんとか村上隆さん。みんな影響受けてたんじゃないかなと思います。
アートと暮らしを繋ぐ新しいカルチャーへの期待
ー アート作品を販売するという事についてどう考えていますか?
絵だけで食べていくのは難しいとずっと言われてる中で、作品を買ってもらえるというのはすごくありがたいの ですが、服とか家具とか音楽みたいなものと比べるとまだまだ一般的ではない。
お金だけじゃないですけど、アートを楽しむというカルチャーはまだまだこれからだと思うので、作品を買ってく れた人に対しても追いかけてどういう感じで飾ってて、それはどう暮らしに落とし込まれているかというのは聞いてみたい。
普段はお店に飾ることが多いので家族で観て飾ってもらってみたり、なにか作品を通じて繋がっていけるようなことがあるといいかと思います。 1枚絵画が普段の生活に入り込んだら次の新しい作品を試してみたくなるようなことは結構あると思います。例えば季節に合わせてとかまた全然違うものが入り込んできたら楽しめると思います。
言葉にならない感情を表現する
ストレートに何か言葉で説明することも大事ですけど、いいにくい何とも言えないこともある。それを表現す るにはまだまだ可能性があって、色んな人がアプローチをしています。社会的な問題も扱っていて、解決は してないかもしれないですけどなにか気づきを与えてきた、ということはあると思います。
今後の活動や展望について
ー 展覧会などの予定があれば教えていただければなと思います。
アートを使って何かやってみたいという企業からの連絡が増えてきているので、どんどん外に出していくということをやってみたい。クライアントワークの中からでも自分自身の課題に向き合っています。
PORTRATORのプロフィール
香川県在住。京都造形芸術大学美術工芸学科洋画コース卒業(現 京都芸術大学)
【活動歴 】
2008「 rainbows 2008 in caso 」ギャラリー caso 大阪
「高松 city people 展」常盤サロン、香川
2009「京都造形芸術大学卒業制作展」京都市美術館 京都
「ミツツ~観察による可能性」 art zone 、京都
2010「 TESHIMA KENJI KAWAKAMI 」 TESHIMA GALLERY 、香川( 豊島)
「 IN ARITA 2010 」ギャラリーa、京都
2011 「川上謙慈 座間啓 」展 2kw gallery 大阪
2012 ORA vol.4 京都造形芸術大学 油画コース OB 展 Court Gallery 東京
2013「 TESHIMA MEETING art in katayama tei 」片山邸 、 香川(豊島)